我々の日本企業再建研究会が法務大臣認証のADRの認証をうけました。
我々の「事業承継ADR」は、これまでに法務省が認証を与えてきたADRとはかなり違いがあります。
最も特徴的な点は、調停人となる弁護士と調停補佐人となる税理士、公認会計士、不動産鑑定士、司法書士、弁理士、中小企業診断士とが一緒になってADR和解手続きを進めるところでしょう。
このように法律家と分野の違う専門家が協力して紛争解決にあたるADRは他にはないでしょう。裁判組織にもなく、世の中全体を見渡してもそのような組織は、あまりないでしょう。
このような仕組みになったのは、中小企業に関する法的紛争の多くは、法律さえ知っておれば解決方法が必ず見つかるというほど単純ではなく、法律と税務の知識、それにできれば会計の知識がないと、問題がどこにあるのかさえ、なかなか理解できないことをなんども経験してきたからです。
事業承継に関する紛争の多くは、事業の価値とか、株式の価値を巡って発生する事例が多いのです。裁判所だけではなく、事業価値を腑分けする仕組みがなさ過ぎることが紛争を多発させ裁判をいたずらに長引かせてきたと思います。
ADRとは法的紛争を話合いで解決する仕組みです。所詮人と人との争いが不可避な人間世界にあって、それでも人間の知恵を信頼しようという仕組みです。
そして、今日こんなブログのエントリー(イザのyuyuuさん)にであいました。
『日本は古来から話し合いの伝統がある。
議論のとても上手な民族だと思う。
先輩、後輩、年少、年長、女性、男性、職業、上司、部下の区別なく、自由に議論を楽しむ気風がある。
そして、西洋の民主主義のように、多数決では決めるような容易な方法は取らない。
昨日の会議でも、まず誰かが議題を出し、自分の考えを述べる。
それに対して賛成の挙手を求める。
当然、まだ議論してないので全員の手が挙がらない。
次に反対の人が意見を述べる。
全ての反対者の意見陳述が終わると、いよいよ議論になる。この問題をあらゆる方向から分析するために全員が意見を述べる。
意見が出尽くした所で、もう一度、決を取る。
最初に賛成していた人間が反対に回ったり、反対していた人間が賛成側に回ったりする。
そこで、さらに議論が続く。
意見が出尽くしたところで決を取る。
しかし、まだ意見が大きく分かれるようだと、この問題は次の会議に持ち越しとなる。
賛成・反対の双方が様々なデータを集めて、もう一度議論する。そして、双方の妥協案を探る。あるいは誰かが第3の解決策を提案する。
日本の会議は全員の合意を目指す。
合意するまで議論するので時間は掛かる。
でも全員の合意で決められた事は守られる。
この日本式の議論は、おそらく村落共同体の寄り合いからスタートしたものだと思う。
中世の楽市・楽座の集まりでも使われ、武士団の内部会議でも使われた。』(イザのyuyuuさんより引用)
これはまるで我々のADRへのはなむけの言葉である。
以上