中小企業の事業承継に伴う紛争を解決する、法務大臣認証のサービス機関です。
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相続人の一人に株式を「相続させる」趣旨の遺言があったにもかかわらず、相続人らが遺産分割協議により株式を他の相続人の財産としたことから後に紛争になるケース。
先代Aの遺言書 遺言書には「この遺言と異なる遺産分割してはならない」という先代Aの意思が明記されていた。
その余の不動産、山林、預金(現金)、有価証券は協議しなさい。
三男Fに70%に相当する甲社株と定期預金を相続させる。
しかし当時の状況は、
・ 長男Cはすでに甲社で取締役として経営に参加
・ 三男Fは大学3年生(21才)
CもFも含め、甲社の社長を務める人は長男Cに決まると思い込んでいた。
協議結果:その余の不動産、山林、預金(現金)、有価証券はB・D・E・Fで分割。
長男Cに70%に相当する甲社株と定期預金。
ADR適性
特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言の効力については、すでに最高裁平成3年4月19日判決によって遺産分割を要せず相続により直ちに効力が発生するとする判決論理が確定しているし、定期預金債権の特定遺贈についても遺産分割によってその効力を左右出来ない事が最高裁平成12年9月7日の判決で確立しています。
遺言書に「この遺言と異なる遺産分割をしてはならない」とあり、遺言者の意思が明確な場合ですから、申立人(F)の勝訴に終わることは明瞭であり、本件は家族内部の争いであることを考えても改めて法廷で争う実益はありません。
しかし、甲社の経営という視点で再検討すると、会社経営をFにまかせるという結論は大方の賛同を得られない可能性が高いと考えられます。
FとC互いの事を考えれば、事業を存続させるためにも、何らかの着地点をADRで求める事が妥当と考えられる事案です。
組織再編行為の結果紛争が発生したが、その原因は第三者にあるケース。
甲社が販売用一戸建ての建設工事を建築業者乙社に対して発注したところ、乙社は運転資金に苦しんでいたため、工事完成前に丙社(金融機関)に借入金の担保として債務譲渡してしまいました。
乙社は丙社に対する借入金の返済を履行しないまま別の中堅建築業者丁社に 吸収合併されました。丁社は、乙社の事業について大幅なリストラを実行し、甲社の発注した工事を担当していた従業員は整理解雇され、元々丁社の従業員であった者が書類を引き継ぎました。
丁社は丙社に乙社の元利金全額を弁済し、甲社に対する建築請負工事残金請求権を受け戻し、丁社が自己の出損で 工事を完成させました。
ADR適性
訴訟上両当事者には責めるべき点はほとんどなく、当事者ではない第三者(本件では乙社)に何らかの過失か、責めるべき点があるため、それが原因となって訴訟になっている事例類型があります。合併や事業譲渡、会社分割など組織再編行為にともなって発生しがちな紛争形態です。
紛争発生の根本原因は情報の行き違いにありますから、そのような事例を訴訟だけで処理しようとすると、いずれかの当事者に対して、不合理に過重な責任を負担させることになりかねません。 そのような場合は当事者の妥協を図った方が妥当な結論が得られます。
また、この事件では合併比率の問題や取締役の責任問題等へと発展する可能性があります。
このような複雑な関係の解決方法としてADRによる解決が適しているということが出来ます。
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